扇風機が付いた作業服は、エコで快適な作業服です

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作業服は、作業者が作業をする際に着用する衣服全般のことを指します。作業の種類に応じてデザインされ、無駄な部分がなくて作業がしやすく、機能性も優れています。両胸にポケットが付いてペン類などを入れられたり、季節に合わせて生地の厚さや袖の長さも違います。

また、暑い季節にはメッシュを施し快適さを求めたタイプもあります。色々なデザインの作業服ですが、近年は暑さ対策で扇風機が付いたタイプも登場しています。

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扇風機がついた作業服は、ファン付き作業服や空調服などと呼ばれています。空調服は、それを製造している日本のメーカーである、株式会社空調服の商品名です。ここでは、ファン付き作業服で統一して説明します。ファン付き作業服は、作業服に空調用の扇風機が取り付けられた作業服です。

これを最初に開発したのは、株式会社空調服の創業者の市ヶ谷弘司氏です。市ヶ谷氏が電機メーカーのソニーを早期退職した後の1998年に、東南アジアを旅行したそうです。

その際に、市ヶ谷氏は気候の暑さに加えて、東南アジアの人々がエアコンを使い出したら、エネルギー問題が起こり兼ねないとの危惧を抱きました。

それが、空調服を開発するキッカケになりました。市ヶ谷氏は、その後に空調服を完成させて商品化し、2004年には株式会社ピーシーツービーを立ち上げ、空調服の商品名で販売を開始しました。更に、2005年には株式会社空調服に社名を変更し、事業の拡大を進めています。

現在ではファン付き作業服のメーカーも増えて、このタイプの作業服が一般に知られるようになっています。

ファン付き作業服は、電動式のファンとそれを駆動させるための電池ユニットがセットになった作業服です。このファンは作業服に着脱可能なので、作業服の洗濯も可能です。ファン付き作業服の原理は、まず作業服に取り付けられたファンを動かし、外気を作業服内に取り込みます。

身体の熱で気化した汗が作業服内に溜まっているので、それを作業服内に取り入れた外気を利用し、作業服の襟や袖の隙間から外部に熱を放出する仕組みです。その時の気化熱で、涼しさを体感できるようになっています。ファンを動かすための消費エネルギーは、エアコンなどの空調機を動かすよりも格安です。

しかも屋外や炎天下では空調機が置けないので、ファン付き作業服は、とても便利で低コストです。また、環境にも優しい作業服です。

ファン付き作業服のメリットは、屋外や炎天下など空調機を使えない場所での作業をする際に、より快適に作業をすることが出来ます。気化熱による身体の冷却(人体の生理クーラー)を補助して、体表面を最適な状態に冷やせるからで、常に快適な状態も保てます。

暑さは思考力や作業効率を落とします。快適な作業状態を保つことができれば連続作業が可能となり、作業効果がアップします。作業効率が上がることで、作業の工期の短縮にもなり、利益のアップに繋がる期待も出てきます。

更に、暑さで朦朧とした中での作業はとても危険です。作業中の事故の防止にもなります。また健康面や衛生面では、近年増えている熱中症の予防にもなります。無駄な汗をかかなくなるので、体力の消耗も抑えることが出来ます。

更に、汗がすぐに蒸発するので、作業服に染み込んだ汗による細菌の繁殖を抑えることができ、汗臭の減少やアセモなどの皮膚病の防止にも繋がります。電気代の面では、リチウムイオンバッテリーの1回の充電の場合でも、電気代は約1円です。

ファン付き作業服で1日8時間使った場合でも、1ヶ月の電気代は約50円未満と非常に安価で、節電にもなります。

メリットは多いファン付き作業服ですが、デメリットもあります。まず、ファンが動作できる外部環境にあるかどうかです。室内や屋外でも、ホコリや粉などが多い環境だと、作業服に付いているファンで体内にそれらを吸い込んでしまいます。

また、ホコリなどがファンの羽根や回転部分に付着してしまい、動作不良を起こしやすくなるという点です。また、強い風が吹いている場合も同様で、吸い込んだ外気を排出することができない状態にあると、折角の機能も役に立ちません。

ファン付き作業服を着用する際には、使用に適した作業環境にあるかどうかの確認が必要です。次は、ファン付き作業服を利用する際は、一般の作業服にない問題点があります。それは、ファンを動かすためのバッテリーの充電が必要であるということです。

使用中に充電が切れてしまうと、役に立たなくなります。高所などの作業環境の場合は、バッテリーの充電が切れたからといって、高所から一々降りてくるわけにもいきません。そのためには、充電の管理はしっかりと行い、予備のバッテリーを所持したり、更にいつでも使用できるように充電もしておく必要があります。

また使用中でも、必要のない時はファンの電源スイッチを切るなど、小まめな管理や工夫も必要です。バッテリーは充電式タイプだけでなく、電池式タイプもあります。作業をする時間や充電する時間があるかなども考慮して、条件に合わせて使い分けられるようにしておくことも必要です。

ファン付き作業服も作業服であることには変わりがないので、一般の作業服と同様にTPOに合わせて選ぶ必要があります。その上で、ファン付き作業服としての利用条件で選ぶことが大切です。一般的な作業服は、会社や事業所ごとで制服の統一性を持たせる意味もありますが、特に身を守ることや、作業を開始するにあたって気持ちを切り替え引き締める役割も大きいです。

それに加えて、作業中の動きやすさや、仕事を効率良く行うための便利な機能が施されているものを選びます。様々なタイプの作業服があるので、使用用途をきちんと把握してから、適切な作業服を選びます。一方、ファン付き作業服は、作業服に空調機を取り付けて、より作業の快適性を求めています。

それ故、使用用途は明確です。一番使われているのは屋外の工事現場で、ファン付き作業服が普及し出したのは、この屋外の工事現場からです。屋外では冬にはファン付き作業服は利用しませんが、夏場は高温になるため一気に需要が増えます。

しかも危険な作業を行う高温多湿の作業現場は、ファン付き作業服は必要不可欠です。屋外工事現場でのファン付き作業服の選び方は、作業服やファン自体の耐久性です。破れやすい生地や壊れやすいファンでは役に立ちません。

まず、作業服の丈夫さに主眼を置きます。作業服の丈夫さでは、綿や混合素材の生地を選びます。薄手の生地では、引っ掛けたりして破れやすいので、避ける方が無難です。また、ファンの冷却能力にも注目です。ファインの送風力が足りないと熱を逃がすことが出来ず、逆に能力があり過ぎると身体が冷えすぎます。

作業現場の環境に合った、ファンの能力を持つファン付き作業服を選ぶようにします。更に、ファンは機械なので、作業服との着脱が簡単で、しかもメンテナンスが容易なタイプを選びます。また、作業服の洗濯の容易性についても、確認することが大切です。

一方、屋外だけでなく、作業現場には屋内もあります。ボイラーなど熱を作り出す部屋は室内は無風で、しかもボイラーで作り出す熱により高温になります。そのような環境下でも、ファン付き作業服は有効です。屋外の場合の熱源は主に太陽光ですが、季節により暑さが異なります。

室内は太陽光の影響を受けないので、主にボイラーなどの熱源による暑さで、季節を問わずほとんど一定です。室内作業なので屋外とは条件が異なり、動きやすい薄手の生地の作業服でも選択が可能になります。

屋内外の高温の作業現場で利用されるファン付き作業服ですが、今やそれ以外の場所でも需要があります。家庭では、夏場に屋外の掃除をしたり、ガーデニングの作業をする時でも利用されています。また、キャンプや釣りなどのアウトドアー活動や、炎天下でのスポーツ観戦の際も、熱中症の予防を兼ねて利用することができます。

地球温暖化が進んでいる現在、ファン付き作業服を作業服としてだけでなく、色々な用途で活用するのも賢い利用の仕方です。